ひとり一冊、5分くらいで、本を紹介しあうはずが3時間経っていた、しずかにあつい、冬の夜。
ひとり一冊、紹介し終わりましたが、なぜかそれぞれの手に、もう一冊残っています。
さらっと紹介していただきました。ひきつづき、おたのしみくださいませ。
< 登 場 人 物 >
(最近読んだ一冊)
み)みなも / みなもとだよりとawaiya books / 園芸家12ヶ月(著:カレルチャペック)
一)一瀬大智 / とおくを描くひと / 知の逆転(著:ジャレド・ダイアモンド他)
さ)さっちゃん / awaiya books / くちぶえサンドイッチ(著:松浦弥太郎)
ヒ)ヒロハタジュンヤ / グラフィックデザイナー / 拡張するファッション(著:林央子)
ど)どいちゃん / オフィスレディ / 日々是好日(著:森下典子)
→ 前書きと<0. 雑談:紙とか文庫本とかのはなし>
→ <1. プラネタリウムのふたご(著:いしいしんじ)/ みなも>
→ <1.5 雑談:みかん休憩>
→ <2. 極夜行(著:角幡唯介)/ 一瀬大智>
→ <3. 春の窓(著:安房直子)/ どいちゃん>
→ <4. 夜は、待っている。(著:糸井重里)/ さっちゃん>
→ <5. Chineasy(著:ShaoLan Hsueh)/ ヒロハタジュンヤ>
<6. その、もう一冊のはなし>
ヒ)さらっとでいいから、残りの数冊、
さ)気になりますね。
み)さらっと、さらっと。
み)これは、いしいしんじです。(先ほど紹介した本につづき)これも小説で、めっちゃ長い。けどもう、
さ)読みこんでますね。
み)読みこんでますねぇ。
ある男の子がいて、その子はちょっと変わり者っていうか、出てくる人みんな変なんですけど、(その子は)背がすごいおっきくて、学校とか、どの集団でもずっと浮いてる。のが、こう、成長とか、人、場所が変わっていったりしていく中で、自分の中にある音楽っていうのが、どんどん…こう、自分の音楽っていうものになっていくていうか。
今この瞬間のために自分はおったんやっていう瞬間に、こう、行くプロセスというか。でも(物語の)ぜんぶが、あの、そのときどきで輝いてるというか、ぜんぶがあって、この時になるっていうのが、そのつながりが、すごい美しいお話でございます。(ものすごい、力強く話している)
これも場面、場面で面白い箇所があるから、その箇所、ここだけ読みたいみたいな感じで読む。
小説って、続けて(一気に)読まなあかんっていうのが頭の中にあったんですけど、この本読むようになってから、気分で、ここ読みたいみたいな感じで(読むことができるようになって)、すごい学びました。新しい読み方に出会った1冊でございますね。
(それからはスープのことばかり考えて暮らした / 吉田篤弘)
さ)スープのことばかり考えて暮らした、人の話、でもないかもしれないんですけど、恋愛?すーごい遠回しな恋愛小説みたいな感じで。これこそ、私がはじめて小説を1冊読み切った本で、読みやすくて。
主人公が、映画館に通いすぎてるような人で、映画をすごい何回も見たりするんですけど。それには決まってることがあって、その映画に、好きな女優さんが出てる。その女優さんは、名前もあるかないかの脇役、ほんとの脇役で、ちょこちょこっとほんとに、3秒とか出てくる。なんかの映画で一目ぼれして、それからずっとその人が出てるやつ(映画)見てる。変な人なんですけど、すごいぼんやりしてるんですよ。ちょっと共通点がある感じ。自分と(笑)、それもちょっとおもしろいな、と思って。
一同:(笑)
さ)サンドイッチ屋さんが出てきて。「トロワ」っていう。で、窓から十字架が見えるアパートに主人公は引っ越してきて、そこから物語は始まるんですけど、
み)(主人公は)男の人?
さ)男の人。
なんか、、、空気感というか、、が好きですね。何があったってあんまよく分からないみたいな。でもちゃんとこう、最後までつながっていって。
すごい遠回しな恋愛小説なんですけど、でも恋愛小説として話が進んでいくっていうよりかは、淡々とこのぼんやりした男の人が、サンドイッチ屋さんで働くことになって、そのサンドイッチ屋の息子、、小学生らしからぬ、、、なんて言うんでしたっけ?落ち着いたっていうか、大人っぽい子どもがでてきたり、、
ふだんの生活を暮らしつつ、なぜかそのサンドイッチ屋さんで一緒に働くことになりスープを作ってくれっていわれて、スープのことばっかり考えて、でも映画にも通って。で、最後にはそのスープと恋愛的な部分の、関連があるんですけど。
これを、なんか伝えたいんですけど。これは読んでみて、あっ、そんな感じ!?みたいな。アッ、そういうこと?って、なんか遠回しな恋愛小説ってアッ、そんなことかぁ。みたいな。
別に、ドキドキするとか、全くそんな展開はないです。ドキドキしない恋愛小説というか、まぁぼんやりしてるというか、好きです。
み)借りて帰ってもいい?(笑)
さ)はい。読んでみてください。
み)はい。それは…その下のやつはなんやったん?
一)これ…「極夜行前」。
み)あっ、ほんまに前なんですね。
ど)準備段階、、
一)こっち(極夜行)の前にそのこの犬(ウヤミリック)を飼ったりとか、さっきごはんを置いたりしたとか言ったんですけど、その行く道中の話とかが書かれてる。ほんまに「前」です。
み)なるほどー。じゃあ、二度楽しいんや。
一)そうですね。僕最初こっち(極夜行)読んで、そのあと、あっこっち(極夜行前)あったんや、みたいな感じですね。
み)でも、その読み順いいですね。
ど)発行されたのはどっちが先なんですか?
一)どっちなんだろう。あんまり気にしてなかったな。18年極夜…(本の発行日が書いてあるページをめくる)
さ)でも、たしかにその順番のほうが、面白そう。
ど)スターウォーズじゃないけど(笑)
一)あ、こっち(極夜行)が先なんですね。売られてるのが。こっち(極夜行前)があと。
ど)それ(極夜行)があっての、プロローグというか、、
み)すごいね、プロローグで1冊、、そりゃすごいドラマが、、
さ)まだまだ足りひんかったってこと、、
一)星を見て歩いた、って言ったんですが、その、星を見るのを習うところから始めるんです。独学で始めようとして、挫折して、聞きにいくんだけど、あんまりよく分らんくて、その借りた器具も風で飛ばされて、どないしよみたいなんがずっと書かれています。
ど)すごい。
ヒ)波乱万丈ノンフィクション、
み)その人は、冒険ばっかりしてる人なん?
一)冒険と、その冒険したことを発信というか、本に書いたりとか。
この極夜行のとき、娘さんが産まれたりして、、
生活もちゃんと、ちゃんと?しつつ、、結婚して、そういう話もありつつ、、でもこういう、外に出て。奥さんに叱られながら、、(笑)
一同:(笑)
一)たぶん、(僕は)冒険っていうのにずっと憧れがあって。外に出るっていう行為に。
こんとき(極夜行に出会ったとき)は、石川直樹っていう方の、写真家で冒険家の人、がいて、その人の本とか読んだりとかしてる時期やって、その感じでこれも手に取ったような。
み)やー、おもしろそうです、、
(スペキュラティヴ・デザイン 問題解決から、問題提起へ。未来を思索するためにデザインができること / アンソニー・ダン、フィオーナ・レイビー、久保田晃弘)
み)(ヒロハタさん持ってきた本に視線を向けながら)それはなんですか?
一)一番怖そうな。
ヒ)これは怖い本なんですけど。
ど)怖い…
ヒ)あの、スプツニ子!って知らないですかね?モダンアートの人なんですけど。
今、東京芸大で、教えてる人で。その人の、先生にあたる人(の著作)なんですよね。
もともとそのひと(著者)はロンドンのRCA大学で習ってて、その研究で書いた論文…、デザイン論みたいな。
一見、ここに書いてるの見たらすごいムズそうなこと書いてるんですけど。
そんな、なんて言ったらいいんですか?、むっちゃ難しいことは書いてなくて。
この「問題解決から問題提起へ」っていうのがあって、デザインって一言でいうと、例えば今日このイベントやるから、お客さん呼びたいから、あの看板作ってよ。みたいな話があったら、それは問題解決。お客さんが来ないっていう問題があったら、それをデザインで解決しましょうっていうのが、まあ、従来のデザインの考え方だったんですけど。
これからは、その問題解決だけじゃなくて、答えだけじゃなくて、そのデザインで問を生み出すことができるんじゃないかっていうのが書いてある本で。
めちゃくちゃさわりだけいくと、、例えば、車の発表会ってあると思うんですよ。ビックサイトとかで、ホンダとか日産とかあって、で、そういう会社っていうのはだいたい毎年コンセプトカーって言って、あの、一般で市販される車とは別で、未来にはこんな車を作りますっていうの作るんですよ。
それはここ(本)で言う、スペキュラティブデザインっていうものにあたるもので、要は、僕たちが未来のことで考えることに関して旗印を立てるというか。こういう未来あるよねみたいなことをデザインしましょうっていう。
ヒ)そうすることによって、行き当たりばったりの未来じゃなくて、試験的に、全然仮にですけど、デザインすることによって、こう、未来を、こう、明るくしていけるよね。ってことが言えるっていう。
その例が、シンプルなんですけどいっぱい書いてあって。よくよく考えたら、モダンアートとか、現代美術とかを例にあげて、こういうことが考えられるよね?っていうのが書いてあるんですけど。
これ読んで一番ビビってしまったのが、自分たちが例えば車の未来どうなるんやろとか、自分たちが使ってる道具の未来どうなるんやろっていう、影響が、そのスピルバーグの映画とかSFとかによって、自分たちがこっちの方向に進んでるんじゃないかなっていうその恐怖っていうか。恐怖じゃないんですけど、車、なんとなく、、
一)空飛ぶ。
ヒ)空飛ぶんやろなっていうことが。
ど)なんか銀色で流線形っていうのが。
一同:(笑)
ヒ)っていうのもすべて、そのなんか提起されたものに対して自分たちがこうなんとなく受け入れてて、っていう。それに近づいていってるんじゃないか、とか。
別の視点でいうと、とくにここに書いてあるのは科学者的なことじゃなくて、アーティストの人がちょっと科学的な感じでこんなちっちゃい小瓶みたいな中で細胞を培養してレザージャケットを、めっちゃちっちゃいレザージャケットをこの(本の)中で作ってるんですけど。
レザージャケットとしては全く機能してないんですよ。ただのめっちゃちっちゃい革なんで。
なんですけど、なんかそのアートが出来ましたっていうことで、それができるだけで、レザージャケット実際着るわけじゃないけど、その、じゃあ生き物を作るっていうことはどういう、人の行いとしてどうなんだみたいな。っていうことを、なんて言ったらいいんですか? 先に、そうなる前に体感することができる。とか、っていうのがこの中に詰まってるっていう、近年読んだ中で結構いいなって思った本ですね。
さ)へぇ~。
ヒ)(本を開きながら)ちゃんと事例をこうやってちゃんと写真を載せてくれたりするんで、事例というか、この人はこういうものを作ってて、とか。これは僕の中ではかなり良かった本で。
僕は逆に、あの、フィクションをあんまり読まないタイプなんですよ、、漫画ぐらいで。
なんでこういう本とか、、や、こういう本ばっか、読んでますね。
さ)ちょっと読んでみたくなりました。
み)そうですね。
ヒ)そんな難しい言葉で書いてないんで。これだけ見るとめっちゃムズそうに書いてるんですけど。(笑)
ど)スペキュラティブがわからへん(笑)
一同:(笑)
ヒ)そのスペキュラティブについても一応書いてあるんで、中にはね。こうやってなんか図式にしてあったりとか、わかりにくいところは。これはちょっと、おすすめ本ですね。
(いろーんな本が集まりましたねえ。それぞれのおもしろさ、ほんとうにいい会でした。さて、次回はいよいよ最終回、の雑談です。)