BIBLIO POST 2(awaiya books)

ひとり1冊、5分くらいで、本を紹介しあうはずが3時間経っていた、しずかにあつい、冬の夜。
今回は、2冊目。とおくを描く画家一瀬大智さんが選んだ、想像もつかないほど遠くへの、旅の本の紹介です。

 

< 登 場 人 物 >

(おところ)
み)みなも / みなもとだよりとawaiya books / 大阪の端
一)一瀬大智 / とおくを描くひと / 奈良の古いお寺があるあたり
さ)さっちゃん / awaiya books / 塚本にいます
ヒ)ヒロハタジュンヤ / グラフィックデザイナー / 大阪市内
ど)どいちゃん / オフィスレディ / 武庫之荘

→ 前書きと<0. 雑談:紙とか文庫本とかのはなし>
→ <1. プラネタリウムのふたご(著:いしいしんじ)/みなも>
→ <1.5 雑談:みかん休憩>


<2. 極夜行(著:角幡唯介)/ 一瀬大智>

(極夜行)

一)はい。僕は、「極夜行」っていうのを、持ってきました。

最初、前、アートの本、気になる。みたいなん(みなもさんに)言われて、なんかあるかなぁって思ってたんやけど、テーマ(*この日は冬に読みたい本というお題がありました)が来たんで、冬っぽいの、なんか、ないかなー?と思って、
あらためて見たときに、冬というかもう、雪の話というか。なんで、これいいなと思って、持って来ました。

僕がこの本知ったのは、NHKで特集がされてて、、えー、この、角幡唯介さんっていう方が作家やねんけど、この方が冒険家なんですね。ノンフィクション作家の冒険家で、

それで、「極夜」って言われても何か、分かります?

み)わかんない…。はじめて聞いた。

ヒ)イメージやとなんか?極夜…

さ)極夜…

ど)白夜の反対みたいな?

一)ああ、そうなんですよ。

ど)ああ、正解した!

一)白夜ってなにか知ってます?

ど)え、びゃく、白夜?白夜はー…一日中ずっと太陽が昇ってて、

一)の、反対だから、太陽がずっと沈んでて、真っ暗。場所によっては薄暗かったりするんですけど、真っ暗な空間のことを言うんですけど。

み)はあ、へーーー。

一)僕ら日本人なんで全然わかんないんですけど、場所によっては、半年ぐらいずっと太陽が昇らない地域があるらしくて。で、もう世界に未知の場所って海底ぐらいしかないって言われてるけども、極夜っていうところに行った人ってあんまいないよねってことで、この人、、行っちゃおうと思うんですね。

み)行っちゃおうと思う(笑)

一同:(笑)

一)なんで、極夜っていうタイトルです。

で、この人が、僕、実際に(冒険に)行ってる映像見て、あーめっちゃヤバいことしてんなって思って。去年やったんですけど、僕大学を出て、こう、就職せずにぼーっとしながら、庭にいながらこう、テレビつけてる感じで、ぼーっとしてたんやけど。
なんかヤバい人が世の中おるんやな、がんばらななぁ。みたいなん思って本買って、えー、今にいたるんですけど(笑)
この人実際に、その、犬、ソリを持って、何十キロもある荷物と犬連れて、徒歩で、ずっと、行くんですよ。

ど)具体的には、どの辺なんですか?

一)えっと、グリーンランドっていう地域があって、国があって。そこが北極に一番近くて、原住民が一番北に住んでる地域が、グリーンランドの「シオラパルク」っていうところに、原住民が住んでる町があるんですよね。そこから出発して北極ぐるっと回って帰ってくるまでのお話を、ノンフィクションで残してあります。

 

(一同、聞き入っている)

一)で、その一番極夜が長くて一番暗い場所に行きたいって角幡さんが言って。2017年ぐらい、3年前ぐらい。に、実際に行った様子が、ずっと記されてて、、

実際に冬、冬というかもう、極寒ですよね。マイナス何十度の世界を行き来してるというので、すごい、自分(一瀬)が普段生活してて感じない体験を、ずっとつらつら書いてくれるというか、実際に体験したことが時系列でどんどん並んでいくというのが、僕はすごい、つよい。話やなって思って。

で、実際の流れとしては、最初、これの、行く前の話が、こっちの、極夜行前っていう話(もう一冊のカバーがかかった本)で、(こっちが)実際行ったとき(の話)で。
行ってみるんだけど、食料とかを、実際行って何十日も旅するんで、もう2、3か月ずっと徒歩で歩きはるんですけど、それ無理やなっていうので、何か所かに、こう、ご飯を置いとくんですよね。

さ)なるほど、なるほど。

 

(一同、すごく聞き入っている)

 

一)行ってはご飯置いて戻ってきて、行ってはご飯置いてっていうのを繰り返して、最後、よし頑張ろうっていうので、2、3か月ぐるって周るっていう旅をするんですけど

その開始する数か月前に、シャチとかセイウチとかに、その、、食べ物なさすぎるから、匂いですぐ、もう、食べられてしまうんですよね。干し肉とか、えーもうカロリーメイトとか、パック詰めにしておいて置くと食べられちゃうからもう、ゴミ袋とかに何重に何重にして、ドラム缶みたいなんに入れて雪かぶせて置いておくんだけど、それもセイウチが食べちゃったっていう知らせを受けて、、絶望するんですけど(笑)、それでもなぜかこの人は極夜に出て行っちゃって。

ウヤミリック、っていう犬が登場するんですね。その犬と一緒にずっと行くんですけど。途中もうしんどすぎて、その犬を食べようか食べまいかの、悩みとか、

暗すぎて朦朧としてる中、食べ物なさすぎて、、、ほかの人が残していった食べ物があるっていう場所を記憶してたんで、そこに行ってみて食べたりとか。もう人が住んでないような地域でも、セイウチとかもいるし、野ウサギとかもいるらしくて、それを撃ち殺して食べたりとか。そういう自分(一瀬)が絶対、今の環境では絶対感じ得ないことが、載っていて、、

 

(一同、ものすごく聞き入っている)

 

一)そんなに文章が上手やな、とか思うわけじゃないんですど、やっぱり、体験っていうのがすごい強烈で。どうしても、ドキュメンタリーを見て気になって買っちゃった1冊です。

さ・み)あぁー。

み)あーめっちゃ読みたくなった、すごい。

さ)めっちゃ気になる、、(笑)

一同:(笑)

 

一)そうなんですよ。その、極夜っていう太陽がない環境だから、まず、この人も星見て、星のきらめきしかないんですよ。んで、地平線も見えへんぐらいにずっと真っ暗で、星だけがこうポツンとあるから。もうそれを、ずっと、、あれは何ぞやみたいな感じで進んで行くんですよ。

もう、スマホもあるし電気もあるし、そういう環境がそんなに好きじゃない、システムから逃れたいんや俺はって言って、GPSのついたのとか、そういう便利なもの一切使わずに、あの星や!ここらへんやし、そっちに歩いていくかぐらいのノリで(笑)50kmとか歩いちゃう人なんですよ。

それで、なぜかたどり着いて、生きて帰って、今、また、色々してはるんでよかったら、また(著者の方の情報など)のぞいてみてください。はい。

さ)すごーい。
み)すごーい。

一)「極夜行」です。

み)めっちゃ面白そうです。

一)面白いです。はい。

み)ありがとうございます。
さ)ありがとうございます。

一同:(拍手)

 

み)すごーい。

さ)気になる。

み)うん。面白そう。初めて聞いた、極夜って。

一)NHKの、夜にやってて。その、「極夜行」っていうのが面白そうやから、テレビの人が、カメラ渡して、これ撮ってきてや、みたいな感じで行くんだけど、
もう、ドキュメンタリ―の中で犬に対して「おら、もっと歩けよ!疲れてんだよ!」みたいな感じで、もうほんまに極限状態で、余裕なくて歩いてる姿がずっと映されてて、すごい環境やなっていうのを、、思って…そうですね、勇気じゃないけど、こんな世界あるんやったらもっと色々できるんやろな。まだまだ部屋に閉じこもってるんじゃあかんなあと思って。

み)すごい。

一)そういう感じでございます。

さ)あーすごい。

一)すごい人なんですよ。

み)面白い世界やな。すごい。

一)なかなかね、極夜っていうのがないし。
なんやったら、最近実家、奈良に帰って思ったのが、大阪と違ってやっぱり暗いんやなって思った。

み)ああ、、

一)明るさが全然違うし、暗さが感じる環境も、大阪いるとどんどん、そういうの色々忘れちゃう、と、思って。空、見ぃひんし。夜っていうのあんま感じひんし。

み)ほんとにねえ。

さ)はぁ…(笑)

一)はぁ…。

一同:(笑)

み)ちょいちょい、吐息がね…(笑)

さ)そう、、すみません(笑)

一同:(笑)

一)次の人指名していいですか?

み)はい。次の人指名してください。

…………

さ)ドキドキする(笑)

ど)どうしよう。先生に当てられるみたい(笑)目合わせられない(笑)

さ)そわそわ(笑)

一同:(笑)

 

(一瀬くんの静かに熱い語り口に、前のめりで聞き入ってしまう一同。見たことのない景色へのあこがれが、あの絵画たちにふくまれているのかもしれません。さて、お次はどなたでしょう? 次回更新をどうぞおたのしみに。)

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