幡野広志さんの写真を見にいきました。
大阪に暮らして10年くらいだけど、なんばグランド花月の場所をはじめて知りました。
そもそも最近はミナミに行くこと自体がほとんどない。
街並みや人通りの中で、よその国の都心部を思い出すような雰囲気になっていて、あたらしいのかなつかしいのかもよく分からない、どこか遠くの国みたいでした。
そんな異国情緒あふれる(?)なんばの、細い路地を通って、なんばグランド花月へ。
その一階のタリーズ(花のれんタリーズコーヒーというそうです)で、幡野さんがネパールで撮られた写真が展示されています。
ぐるっとひととおり眺めて、じっくり一枚いちまいを見て歩き、スライドショーのよく見える席でホットソイラテをのみました。
出勤前の夜の蝶と、荒っぽい口調の渋いおじさま、大人びたティーンエイジャー、
ふだん目にすることのすくないひとたちにかこまれて、よりいっそう、旅の心地。
街並みや、うつくしい景色、ひとびと、
遠くの国の写真が、遠くの国みたいなまちのカフェで、やさしくかがやいていました。
それからまた御堂筋線にのって、心斎橋へ。
また細い路地をとおって、ササキビル、という建物にある、ギャラリーササキへ行きました。
こちらは尾柳佳枝さんの、ふとんのある眺め、という展示。
すこし前、と思ったらもう3年くらい前だったんですが、モトタバコヤというところでお会いして以来ずっと気になっている絵描きさんです。
印象的な、緑と青。ひとのからだのなかみたいな、夕焼けみたいな夜明けみたいな、やさしいピンク。
目が、ずっと見ておきたいわ。と言う。
そんな、やさしくて、かわいくて、ふわふわどっしりしている絵。
板に描かれたものから、額装されたもの、そして絵が描かれた布団が、どっしりならんでいる風景。
展示最終日ぎりぎり、見ることができてほんとうによかったです。
入ってすぐに、お茶を出してくださった尾柳さん。
やさしくて、かわいくて、心そのものがどっしりしている。絵そのもの、みたいな方でした。
ずいぶん前にすこしお話しただけなのに、覚えてくださっていたのにも、おどろきうれしかったです。
「その時代のうつくしいものをたくさん見ること」
これは、松浦弥太郎さんの100の基本という本で見たことばです。
読んだときには、よくわからなかった。
だけど、この日、このことばが実感をもってからだのなかに響きました。
死ぬまでに、うつくしいものをたくさん見たい。
大事なひとたちにも、うつくしいものをたくさん見せてあげたい、と思います。
幡野さんの写真の展示は、まだやっています。
尾柳さんのギャラリーササキさんでの展示は終了していますが、SNSなどに今後の情報をアップされています。
これからどんどん増えそうな予感がする、見るひとになる日、のおはなし。でした。
読んでいただきありがとうございました。